ピアノの音色（その5）

ピアノの音色「第5話」です

小出しにしているので
なかなか、先に進んでない様な気もしますが（笑）
もう少しお付き合いくださいね

さて、
直接ヨーロッパに行って
教会のシスターに十字架を返したいと思ったレナだったが
行くためのお金が無いと言うことで
ひとまず、他の方法で教会を探す事にした


夢の中の教会を探す方法といって

最初に思い付いたのは

インターネットで教会の写真を眺める事だった

父親の書斎にあるパソコンで画像検索をして

夢に出てくる教会の様子や

両親が撮った写真と見比べを
何枚も行ったが
これと言った教会はなかなか見つからず

写真で残っている以外の教会なども
検索をしていった
しかし、その数はかなりの数で
学校や外に出る必要がある時は

スマホでチェックしたりと

ほぼ、1日を教会の画像と向き合って過ごしていた

調べていて分かった事だが

国ごとに教会の建築方法の違いがあるのはもちろんだが

同じ街の中でも

建てられた時代において

教会の形も大きく違うと言う事だった

要するに目的の教会がどこにあるのか

全然見当もつかない状況だった

教会をネットで調べている間でも
寝ている時はあの夢を見ていた

ある朝、起きて思いついた事があった
あのピアノの曲を探してみようと思ったのだ

今まで、曲の事は気になっていたが
教会を探す事ばかりに考えが行ってしまい

誰のどんな曲なのか考える事が無かった
もしかすると、曲から何かヒントが得られるんじゃないか！
と考えたのだ

スマホには様々なアプリがあって

曲を歌うだけで名前が分からない曲名を教えてくれる物もある

今回は、夢の中のピアノの音で

さらに、音程も外れているので

ちゃんと調べる事が出来るのか心配だったが

スマホに向けて鼻歌を歌ってみると

数曲の曲名が表示された

表示された曲を聴いて行くと
もしかしたら？
と思う曲があった
イタリアの童謡だ

何度か聴いてみて
おそらく、この曲に違いないと考える様になった

シスターが弾いてくれた曲は

イタリアでは昔から歌われている童謡らしかった

母親の話では
私が音程が外れた歌をローマの空港に向かうバスの中で歌ったと言う事なので

教会がある場所は

イタリアの何処かの町の確率が高くなった

幼い頃の旅行で行ったイタリアの町は
写真で見る限りでは

ミラノ、フィレンツェ、ピサ、ローマ

となると、
この4つの街のどこかに夢で出てきた教会があるはずだ

親からの話によると

ミラノでは大聖堂と

レオナルド・ダ・ヴィンチの最後の晩餐を見て

すぐに移動したそうで

ピサも同様に

有名な斜塔だけの見学だったらしく

この2つの街に目的の教会がある確立は低そうだった

残るは、フィレンツェとローマの2つ

この2つの街の教会の写真を

画像検索で重点的に調べる事にした

しかし、それでも教会の写真の数は膨大で

なかなか結果に結び付かなかった

そんな中で恐れていた事が起きてしまった

ずっとネットでの写真調べに時間を費やして

家ではもちろんだが

学校でもずっとスマホを眺めていた事で

とうとう、親と一緒に学校に呼び出される事になってしまった

「最近のレナさんは

授業中はずっとスマホを眺めていて

注意してもやめなかったり

テストの点数も以前に比べるとかなり悪くなっています

ご家庭ではどんな様子ですか？」

「先生

学校でもそんな風なんですね

家でも、父親の書斎にあるパソコンで

ずっと建物の写真を見ているんですよ

まさか、学校でもスマホに夢中になっているなんて

レナ！

本当にどうしたの？」

夢の話をしても信じてもらえるか分からないので
私は、ヨーロッパにどうしても行きたい
と言う事を親と先生に伝える事にした

「私は、……

……

……

もちろん、勉強が大事って事も分かっているし

将来の進路の事も考えないといけないのも分かってる

でも、今は、ヨーロッパの事しか頭にないの」

「お母さん、レナさんがずっとこんな感じだと

他の生徒にも示しがつきません

どうでしょう？

もうすぐ、夏休みが始まります

なんとか、ヨーロッパ旅行に連れて行ってあげる事は出来ませんか？」

「しかし

私も夫も仕事もあるし……」

「お母さん、お願い！

ヨーロッパに行って帰って来たら

今まで以上に勉強も頑張るし

進路の事もちゃんと考えられると思うの」

「そんな事も言われても……

……

……

分かったわ！

とりあえず、お父さんと相談しましょう

と言う事ですので、先生

家に帰って主人とも話をしてみますので
今日はこれで失礼します

また、ご迷惑をおかけするかもしれないですが

どうかよろしくお願いします」

こうして、

今度は、親子3人での話し合いが始まった