ピアノの音色（その8）

ピアノの音色も
いよいよ、イタリア編に入り
本格的に十字架の持ち主探しが始まりました

まだ、手がかりという手がかりが無いまま
レナはどうやって持ち主を探し出すのか？
それとも見つからずに日本に帰るのか？（笑）

それではどうぞ！


気持ちはすぐにでも教会を探したかったのだが
イタリアに到着したのは夕方で
荷物も持っていた事から
まずは、荷物をエリザの家に預けて
食事をする事になった

アンドレアの運転する車に揺られて着いたのは

町外れにあるピッツェリアだった

「お腹すいたでしょう

パパはこのお店のオーナーなの

遠慮しないで好きな物を注文してね」

なるほど、日本在住のイタリア人のシェフと知り合い
って事で
アンドレアさんも料理人だった

イタリアで初めて食べたピザは

日本のピザとは比べ物にならないくらい

とっても大きくて
とっても美味しかった

食後のデザートを食べていると

エリザが聞いて来た

「レナ、探し物をする為にイタリアに来たって聞いたけど

いったい、何を探しに来たの？」

実は……

ここでも、夢の話をすると変だと思われるかもしれないので

とりあえず、小さい頃にイタリアに来て

教会でシスターに十字架を預かった事を手短に話した

ヒントが自分の記憶と音程の外れたピアノと言うと

エリザもアンドレアも顔をしかめてしまった

「レナ！

ローマにある教会の数って知ってる？

大きな大聖堂はもちろんだけど

小さな教会まで合わせると400を超える数があるのよ
言いたくないけど、見つけるのはかなり難しいはずよ」

こんな事を言われても

私は諦める訳には行かなかった

しかも、期限が1週間しかないので

早速、明日から探しに行きたいという事を伝えると

「かなり大変だと思うけど

いいわ！

ちょうど、明日は私も休みで何もする事がないから手伝ってあげる
いきなりイタリアに来て
イタリア語もほとんど分からないとなると
不便な事だらけだと思うし
普通に街を歩くだけでも迷子になるかもしれないから」

このエリザの申し出は嬉しかった
一人でも教会を探すつもりではいたが
やはり、異国の地で言葉が分かる人が近くに居てくれると
本当に安心だ
エリザに”ありがとう”と感謝して

次の日から教会探しが始まった

とは言ったものの

本当に雲を掴む様な話で
手がかりが少なすぎるという事で

エリザの提案でローマの有名な観光地を中心に調べる事にした

おそらく、幼い頃の私も観光名所は巡ったはずなので
手当たり次第に適当に教会を探すよりは

そのやり方の方がまだ見つかる可能性が高いと思ったのだ

「まずは、バチカンに行きましょう

ローマで教会と言えばなんといってもサン・ピエトロ大聖堂よ

世界的な観光名所だし

レナが幼い頃にも来たと思うよ」

バスを使ってバチカン市国の近くまでやって来たのだが
バスの切符を街のBAR（喫茶店）で買うとか
路線図の見かたや乗り方や降り方など
おそらく、一人で居たら無理だったかもしれなかった
本当にエリザが一緒に来てくれて助かったと思った

バチカン市国はイタリア国内にある
世界で一番小さな国だが
敷地内に入る際はパスポートとかは不要らしい

そのバチカン市国のシンボルとも言えるのが
サンピエトロ大聖堂だ

実際にサン・ピエトロ大聖堂の前に立つと

その大きさに圧倒されてしまった

さらに、キリスト教の信者の方達も多く

修道服を着てお祈りを捧げている女性も沢山いた

おそらく、私の夢の中のシスターも参拝に訪れたと思うが

その信者以上に観光客の数が多い事に驚いてしまった

大聖堂の中に入るにはセキュリティチェックが行われて
朝早くから来て、そこまで長蛇の列と言うほどではなかったが
それでも、中に入るまでかなりの時間がかかってしまった

ようやく入れた大聖堂内だが

夢の中で見た教会とは

全然違っていた

そもそも大きさが全然違うのというのもあるが

大聖堂の中は豪華絢爛に彩られていたが

私が探している教会はこんな感じでは無かった

「エリザ

探している教会はここじゃないわ

もう少しというかこじんまりとした小さな教会だった気がするの」

「そっか

イタリアで一番有名な教会だし

ローマに来た人は必ず訪れる教会なんだけど

まぁ、流石に最初で見つかるくらい簡単じゃないわね

じゃあ、次に観光客が行きそうな所に行きましょう！」

教会を探すのは
初めから簡単な事では無いと思っていたが
一つの教会だけでこんなに時間がかかるなんて思わなかった
私は、少しだけ不安になった

つづく