ソフィアです。今日は、イタリア人の私がどうしても黙っていられないニュースについて。
オーストラリアのイタリアンレストランで、イタリア人シェフが解雇されたの。理由のひとつが、パーティー注文で頼まれた「ハム&パイナップル」のピザを作るのを拒否したこと。本人は「自分の文化への侮辱」だって。しかも4年で3回目の拒否だったんですって。
日本の友達にこの話をしたら、きっとこう言うでしょう。「たかがパイナップルくらいで、仕事まで失うなんて」。
でもね、その「たかが」が、イタリア人には通じないの。
イタリア人にとってピザは、ただの食べ物じゃありません。故郷そのもの。ナポリのピザ職人の技はユネスコの無形文化遺産にまでなっているのよ。生地、トマト、モッツァレッラ、その調和が何百年もかけて作られてきた「作品」なの。
そこにパイナップルですよ?甘くて酸っぱい熱帯のフルーツを、焼けたチーズの上に。イタリア人の感覚では、名画に落書きするようなもの。ちなみに「ハワイアン」は1960年代にカナダで生まれたピザで、イタリアの伝統とは何の関係もありません。
だから、シェフの「侮辱だ」という気持ちは、私には痛いほど分かります。私がその厨房に立っていたら、注文を3回は聞き返していたと思う。「本当に?パイナップルを?このピザに?」って。
ただ、最後にイタリア人の先輩として、ひとこと言わせて。
意地は美しいけど、意地で仕事と永住権まで賭けるのは、さすがにやりすぎ。私だったら、もっと上手くやるわ。笑顔で「かしこまりました」と言って、メニューの書き方を工夫するとか、注文が入る前にパイナップルの在庫を「切らして」おくとか……あら、これ以上は企業秘密ね♡
「たかがパイナップル」と「されどパイナップル」。たった一切れのフルーツで見える、食文化の重さの違い。日本のみなさんには、これがイタリア人の「食への意地」というものよ。
― ソフィア
※この記事は、ブログ内の「ソフィアのコーナー」として、Gabriel.の記事とは別の筆者・別の語り口で書かれています。事件の詳しい経緯は、Gabriel.の記事「『ピザにパイナップルは侮辱』イタリア人シェフ解雇騒動、見出しの裏側」をどうぞ。