ピアノの音色（その2）

今日は昨日の続きです

夢で見たピアノの音が気になっていた
女子高校生のレナ

ふとした事で幼い頃の思い出が
少しずつよみがえってきたみたいです

詳しくは昨日の記事を読んでくださいね（笑）


学校の帰り道に
ふとした事で立ち寄った
ヨーロッパ風の道と建物

その中でも
教会を見た瞬間に私の頭の中で
何かが光ったような気がした

そうだ！

夢で見ていた景色は教会の中だ

どうして今まで忘れていたんだろう？

幼い頃に旅行で行った教会

優しい女性に慰めてもらったんだ

でも、どこの教会だっけ？

家に帰れば写真のアルバムがあるはず

それを見ればもっと詳しく思い出すかも

私は急いで家に戻った

家に帰るとバタバタバタと

急いで階段を駆け上がって

自分の部屋のアルバムを取り出す

中学校の時に友達と遊園地に行った写真

親と行った動物園の写真

いや、これじゃない

小学校の入学式の写真
幼稚園の卒業式

……

……

あった！

ヨーロッパの写真だ

イギリスのビッグ・ベン

フランスのエッフェル塔

ローマのコロッセオ

など

ヨーロッパを代表する建物と一緒に私が写っている

でも、あの教会の写真はない

と言うか

ヨーロッパの写真が多すぎて

どの街の教会だったのかも思い出せない

「ちょっと、レナ

慌てて部屋に行って

帰って来たなら”ただいま“くらい言いなさい

わっ！

こんなに写真を広げてどうしたの？」

「お母さん

私、ヨーロッパで迷子にならなかった？」

「ヨーロッパ？

ああっ！懐かしいわね

あなたがまだ4歳とか5歳の頃だったかしら

商店街の福引きでヨーロッパ旅行が当たったのよね

そうそう、あなたもこんなに小さかったわよね」

「そんな事より

旅行中に教会で迷子にならなかった？

ピアノがある教会で」

「どうだったかしら？

あなたは何にでも興味を持って

いろんなところを走り回っていたからね

そんな事あったかもしれないわね？

「うーん？

それじゃ、何の手がかりにもならないじゃない

他に思い当たる事はない？」

「手がかりって

一体何の手がかりよ

さっきから何を言ってるの？

ん！

そういえば！」

「なに！何か思い出したの？」

「あなた、移動中のバスの中で変な歌を歌っていたわよね

音程の狂った変歌

周りには他のツアーの人もいたのに

大声で歌うから恥ずかしかったわ

あれって何の歌だったの？」

「それだ！

その歌っていつから歌ってた？

ヨーロッパ旅行ってどこの都市を周ったんだっけ？」

「えーっと

日本からイギリスに行ってビッグ・ベンを見たのよね

それから、フランスに渡ってパリでエッフェル塔、凱旋門

ショッピングの時間もあったわね

あっ！

あの時買ったコートってどうしたかしら？

もう、デザインも古くなってるからもう着れないかもしれないわね

レナ、あなたが着たいなら着ても良いわよ」

「そんな事より

それからどこに行ったの？」

「そんな事って酷いわね

結構、高かったのよあのコート

パリの次はノートル・ダム寺院だったわね

あれって、寺院って名前だけど

教会なのよね

変わった名前よね」

「教会！

その時、私はその歌って歌ってた？」

「ん？どうだったかな？」

……

……

その時は、慣れない海外旅行で疲れてたのよね

移動中はずっと寝てたんじゃないかしら？

歌を歌っていたのはもう少し後ね

フランスは確かそれで終わりだった気がするわね

フランスからイタリアに行って

ミラノで大聖堂とショッピング

そして、ピサの斜塔をみてフィレンツェで一泊して

最後はローマを見て帰って来たのよね

あら？

歌っていつ歌ってたかしら？」

「大事な事だからちゃんと思い出してよ」

「えーっと

旅行の後半だったと思うのよね

そうだわ！

旅行の最後の最後

ローマの空港に向かうバスの中よ

私が歌うのをやめなさいって言ったんだけど

他のツアーの方が

“最後に特別な歌が聞けて今回は良い旅でした”

って言ってたから間違いないはず

空港でもう一つ思い出したんだけど

空港の手荷物検査で引っかかったわよね

子供のオモチャが引っかかりました

と言われたけど

あなたにそんなオモチャなんて渡してないし

買った覚えも無かったのよね

結局、あれも何だったの？」

思い出した

空港の手荷物検査で引っかかったのは

オモチャを持っていたんじゃない

とってもとっても大事な宝物を預かったんだった

また、あの時の光景が頭の中に浮かんで来る

このピアノも大事な宝物だから

ピアノ“も”…

そうだ！

あの人はピアノ“も”って言ったんだ

その前に他の宝物を見せて貰ったんだった

つづく