ピアノの音色（その10）

はい、ピアノの音色も第10話まで来ました

自分でもすぐに終わらせるつもりだったので
ここまで長くなるなんて驚いてます（笑）

下書きである程度の話の流れを書いていて
更新する時に書き加えたりしているんですが
色々と書きたくなって来て
最初に予定した長さをかなりオーバーしてしまってます

この調子だとまだまだ続きそうな感じがするので
良かったらお付き合いください

と、それでは
ピアノの音色第10話です




バチカン市国のサンピエトロ大聖堂と
スペイン広場のトリニタ・ディ・モンティ教会
に行ったレナ達だったが
どちらも夢に出て来る教会とは違っていた

ひとまず、美味しいジェラートを食べて
休憩をする事にしたのだった

「エリザ
この近くに他の観光客が訪れそうな教会ってあるの？」

「う～ん？

観光客が行きそうな教会って

考えてみるとそんなに無いんだよね

ローマの有名観光名所って
古代ローマ時代の建物とかが多くて
たとえば、コロッセオとかで

教会自体を目的に観光する人って少ないと思うの

もちろん、コロッセオの周辺とかにも
いくつか教会があるけどね
あっ！」

「えっ？何？
エリザ、何か思いついた事があったの？」

「そういえば、あそこも観光客が集まる名所だったわ！
レナ、さっそく向かいましょう！
ちょっと遠いから
今度は地下鉄に乗って行くわよ」

エリザは他の教会を思いついたみたいだが
到着するまで秘密
って事で詳しい事を教えてくれなかった

地下鉄に乗り
着いた場所は
コロッセオの駅だった

「エリザ
ここってコロッセオじゃないの？」

「そうよ、レナはコロッセオを見た事はあるの？」

「う～ん？
小さい頃に来た時に見たと思うんだけど
ほとんど覚えてないんだよね
って
ここが目的地じゃないよね？」

「もちろん
さぁ、私に付いて来て」

エリザはコロッセオを後にして
古代ローマ時代の遺跡が残る
フォロ・ロマーノの方に向かって行った

フォロ・ロマーノは紀元前に建てられた建物の柱が残っていたり
大きな凱旋門や儀式に使った神殿などが今でも残っている場所だ
こんな所に教会があるのか？
と思ったが
エリザはそのままフォロ・ロマーノを通り過ぎてしまった

しばらく進むと
多くの観光客が並んでいる場所があった

「さぁ、レナ着いたわよ
ここが目的の場所よ」

エリザに案内されて着いた場所は
なんと、これまたローマの休日に出て来る
”真実の口”だった

「ちょっと、ちょっと
観光客が多い有名な名所って事は分かるけど
私たちが探しているのは教会なのよ
これって普通の建物の壁じゃない」

「この真実の口が付いている壁だけど
ぐるっと向こう側に周ってみましょう」

エリザの言うとおり壁伝いに建物を周ってみると
なんと、真実の口があったのは教会の壁だった
観光客は”真実の口”の方にばかり興味があるのか
教会には入らないで
真実の口の写真を撮ると
そのまま他の場所へと移動していた

「真実の口ばっかりが有名になっちゃって
このサンタマリアインコスメディン教会の壁に付いてる
って知られてないのよね
でも、一応、有名な観光名所のひとつだから
この教会も調べてみましょう
さぁ、レナ
中に入って探している教会かどうか確認してみて」

まさか、こんな所に教会があるなんてビックリしたが
確かに、幼い頃に迷子になって教会に迷い込んだ事を考えると
親達が真実の口に夢中になっている間に
私が教会に入り込んだ可能性も高いかもしれない

サンタマリアインコスメディン教会は
外側の地味な感じとは違い
中は、かなり美しい装飾がしてあった
エリザに聞くと、一部の飾りは
さっき見たサンピエトロ大聖堂から移された物もあるらしい

なんとなく、夢の中に出て来る教会と似ている様な気もするし
どこか違うような感じもして
確信が持てなかった
すると、エリザが近くに居たシスターにピアノの事を聞いてくれた
10年くらい前に音程の外れたピアノが置いてなかったかどうかだ

シスターの答えは
「ピアノはちゃんと音階があって壊れていた事ない」
と言う事で
この教会も夢の中の教会とは違っていた

その後も
周辺の教会を探してみたが
どれも夢の中の教会とは違っていた

エリザに最初に教会を捜すと言った時に

ローマには400以上の教会があると言っていたが

そのほとんどが周辺の人々が日々の生活の中で使う教会なのだ

私が探している教会も

そんな観光客とは無縁の教会だとすると

1週間では探しきれないかもしれない

でも、諦める訳には行かなかった
持っている十字架を返す為に
わざわざイタリアまで来たのだから・・・

つづく