2013/08/20

タイガー物語

今回は、また、ヨッキー君物語のサイドストーリです

今回のスピンオフ作品は、現チャンピオンのホワイトタイガーの物語です
この物語は、勘太さんが描いてくれたイラストを見て思いつきました

勘太さんがとっても上手に描いてくれたんですが、
昔から、あんなに怖い顔だったのかな?
と、ふと思った事がきっかけです

なかなか、本編の方の話は進みませんが、
こっちのサイドストーリも気に入ってもらえると嬉しいです





「あっ、見てあそこにいるのって
世界チャンピオンのホワイトタイガー選手じゃない?」

「ほんとだぁ~
でも、わたし、あんまりあの人好きじゃない
だって、いっつも怖い顔しているんだもん」

「そうだよね
試合中は分かるけど
それ以外の時も怖い顔してるもんね」




今でこそ、世界チャンピオンとして無敵の絶対王者と呼ばれているホワイトタイガー選手ですが、
子供の頃は、毎日いじめられる日々が続いていました

ホワイトタイガー選手には、5歳も年上のお兄さんがいました

お兄さんのブラックタイガーさんは、
子供の頃から強くて優しい
ホワイトタイガー選手にとって憧れの存在でした

「おい、ホワイト!
いつも、ノロマだなぁ~
俺のカバンをちゃんと家に届けておいてくれよ
落としたりしたらただじゃおかないからな!」

「俺のカバンも頼むよ」

「あっ!
じゃあ、これもお願い!」

気が付くと、ホワイトは沢山の鞄を持たされていました
ホワイトタイガーは、いじめっ子や他の子の荷物を
いつも沢山運ばされていました

「コラー‼」

「あっ!
ヤバイ!
ブラックが来たぞ!
俺のカバンを早く返せよ!」

いじめっ子は、すぐに、
鞄を奪い取りました

「あっ、ホワイトのお兄さん、
何か御用ですか?」

「また、僕の弟をいじめていたな!」

「そんな事無いですよ
みんなでゲームをしてたんですよ
じゃんけんで負けた人が荷物を運ぶゲームを
ホワイト!
そうだよな!」

「う、うん」

「嘘をつくな!
とにかく、今回は見逃してやるから
お前達はさっさと帰れ!」

「クソッ!
ホワイト!
明日!覚えておけよ」

いじめっ子達は、逃げる様に帰って行きました

「ホワイト!
本当はいじめられていたんだろう?」

「うん」

「もう少し、強くならないとダメだぞ!」

「うん」

「さぁ、家に帰ろう」

お兄さんのブラックは、
いつも、ホワイトがいじめられている所に現れて助けてくれていました

喧嘩もホワイトを守る為に闘ってくれて
決して自分からは攻撃をしない
みんなが認める好青年でした
そんなお兄ちゃんがホワイトは大好きでした

ブラックは、ホワイトを助ける為に闘っていた所をボクシングのトレーナーに見られて
スカウトされていました

ボクシングの腕も凄くて
すぐにでも世界チャンピオンに成れると噂で持ちきりでした

「ブラック!
お前なら世界チャンピオンを100回
いや、1000回は防衛できるぞ!」

「何を言っているんですか?
まだ、その世界チャンピオンにも成ってないですよ」

「お前なら世界チャンピオンは簡単だよ」

お兄さんのブラックは、
弟のホワイトにもボクシングを習わせようとしましたが、
ホワイトは嫌がって習いませんでした

「どうして、ボクシングをしないんだい?
練習して、強くなったらいじめられないのに」

「僕、あんまり人を殴るスポーツって好きじゃない
それに、僕には向いてないよ」

「そうかなぁ~
子供の頃に兄弟喧嘩をしたら
お前が本気で怒った時は、兄ちゃんでも手が出ないくらい強かったのに」

「そんな事、覚えてないよ
それに、なんと言われてもボクシングはしないよ」

「そうか・・・
お前が本気で闘うと
僕より強いと思うんだけどなぁ~」

いつも、その話をする時は
ブラックは哀しい顔をしていました


数ヶ月後
いよいよ、ブラックの世界王者に挑戦する日が来ました

周りは間違いなくチャンピオンに成れると言っていましたが
やっぱり心配で
ホワイトも会場に応援に来ていました

試合は予想通り
ブラックが優位に進めて行きました

結果
ブラックもかなり苦労はしましたが
世界チャンピオンになる事が出来ました

ホワイトは、控え室に祝福に行きました

「お兄ちゃん!
やったね!」

「おう!
ホワイトか?
まだまだだよ
これで、ようやくスタートラインに着いたって感じだよ
目標は1000回防衛だからな
そうですよね、シショウ!」

「当たり前、当たり前
お前なら伝説のチャンピオンになれるぞ」

「ホワイト、
すまないこれから、雑誌の取材が入っているんだ
先に帰っていてくれよ」

「うん、わかった」

ホワイトは、帰ろうとしましたが、
一瞬、何か変な感じがしました

「あっ
お兄ちゃん
気をつけてね」

「気をつけるって何を言っているんだ?
試合はもう終わったんだぞ!
兄ちゃんが世界チャンピオンになったから緊張してるのか?
とにかく、簡単な取材だからすぐに帰って来るよ」

そう言ってその場は別れました

しかし、ホワイトが家に帰って
数時間が経ちました

「おかしいなぁ~
雑誌の取材ってそんなに長いのかなぁ?」

ジリリリリ!

その時、急に電話が鳴り始めました

「はい」

「あっ
タイガーさんの御宅ですか?
救急病院の者ですが、
ブラックタイガーさんの御宅ですよね?」

「はい
ブラックタイガーは兄ですけど」

「それが、
ブラックさんが事故に巻き込まれて
重体なんです」

「えっ!」

それから、ホワイトは自分でどんな行動をしたのか覚えて居ないのですが
気がつくと、病院のベットの側にいました

「どうして?
どうして、こんな事になったんですか?」

「それが、
道に子供が飛び出して
その子を助けようとして

車にはぶつからなかったんですが、
その時に頭を強く打ったみたいです」

「で、その子供は?」

「お子さんの方は、大丈夫でした
簡単な検査もしましたが、何処にも異常は有りませんでした」

「そうですか
所で、兄が助かる可能性はあるんですか?」

「それが、頭以外は何処も悪く無いんです
現在の医学では、原因が分からないのこの先、どうなるか我々にもわからないです」

結局、数ヶ月経っても
ブラックの意識は回復する事は有りませんでした

しかし、ある時
急にブラックがつぶやき出しました

・・お前なら世界チャンピオンは簡単だよ
・・1000回防衛も夢じゃ無い

「兄ちゃん!
兄ちゃん!
分かるの?」

しかし、
言葉はつぶやいていましたが、
ホワイトの呼びかけには応えてくれませんでした

医者に相談すると
意識が無くても夢は見ているみたいで
もしかすると、その夢が叶うと意識が戻るかもしれないという事でした

それから、ホワイトはお兄ちゃんの為に
ブラックが通っていたジムに行って
ボクシングを習う事にしました

ブラックに教えていたトレーナーは辞めてしまっていましたが
ブラックが言っていた通り
ホワイトにも才能が有って
メキメキと強くなって行きました

そして、念願の世界チャンピオンになる事も出来ました

その事を、病院のお兄さんに報告したホワイトでしたが、
少し笑った気がしましたが
意識が戻る事は有りませんでした

「やっぱり、1000回防衛しないとダメなのかなぁ~
お兄ちゃん、待っててね
きっとお兄ちゃんが簡単に出来たはずの1000回防衛をしてみせるからね」

おわり

14 件のコメント:

りょうちゃん さんのコメント...

なんかちょっと想像した展開になったけど(笑い)

そうなのよね
相手にもそれぞれの人生があるんだよね

いい話だね

しばいつん さんのコメント...

こんばんは。
お兄さんが死んでしまうかと思いましたよ・・・。
努力の人って感じ、しますね。
ええ話、すうっと出ますね。
さっすがガブリエルさん!

Gabriel. さんのコメント...

りょうちゃんさん
やっぱり、何処かにあるそうな話ですもんね(笑)

最後は、ヨッキー君と試合をするはずなんですが、
どちらも勝って欲しいですよね

Gabriel. さんのコメント...

しばいつんさん
なるべく、小説の中でも人が死なないようにしたいんですよね
どうしてもって時はあるかもしれないですが、
基本は、ハッピーエンドで終わりたいですもんね

らくこ♪ さんのコメント...

こんにちはぁ~!!
うんうん お兄ちゃん、死んじゃわなくてよかった!!
韓国ドラマだったら、悲惨な死を遂げるところだよ・・・。

こうやってホワイト君は強くなっていったんだね。
誰かのためだと 頑張れることっていっぱいあるね。

ランスロット さんのコメント...

こんにちは。

ホワイトタイガーにも事情があったのですね。
チャンピオンになるには、やっぱり、
ただの力だけでない、意思の強さが必要なのですね。

いつも、ながらいい感じです。

yume さんのコメント...

こんにちは~♪

ホワイトタイガーの過去も、色々あったのですね...
お兄さんのブラックタイガーも、優しいのですね~

そしてホワイトタイガーにも、
希望が!光が!見えてきたようですね\(^o^)/
...感動デスね♪

Gabriel. さんのコメント...

らくこ♪さん
まだ、入院して意識不明ですが、
本当に亡くならないでよかったですよね(笑)

このお兄ちゃんがいるから、ホワイト君は世界チャンピオンになれたんですよ

Gabriel. さんのコメント...

ランスロットさん
勘太さんのイラストを見て、
こんなに怖い顔になるのはどうしてだろう?って思ったんですよね

ほんと、力だけでは世界チャンピオンは無理なんでしょうね

Gabriel. さんのコメント...

yumeさん
主人公は、ヨッキー君なんですが、
ホワイト君の物語を書いたら、どちらも応援したくなりますよね(笑)

勘太 さんのコメント...

こんにちは〜
なかなか良いお話しですね。
こんな優しいホワイトがどうして恐い顔をするようになったんでしょう?

え?恐い顔を描いたのはお前だろうって?^^;

Gabriel. さんのコメント...

勘太さん
ほんと、昔は優しい顔をしていたんでしょうね(笑)
でも、勘太さんのおかげでこの話が出来たので「良し!」としましょう(笑)

cm8 さんのコメント...

いいお話です
そうやって強くなっていったのですね
お兄ちゃん意識がいつか回復すると
いいですね(笑)でも、死ななくて良かった

Gabriel. さんのコメント...

cm8さん
お兄ちゃんは意外と、タフで強いんですよ
きっと、回復してホワイト君の応援もしてくれると信じてます(笑)